ワイン蔵の中を隅から隅まで見て回り、お待ちかねテースティングの時間がやってきた。隊員たちはニカニカしながらエレオノーラの後について行く。案内されたテースティングルームは、数多のワイン蔵を探索してきた隊員たちをも感動させずにはおかないしつらえであった。
部屋の正面には半円形の窓が開いている。窓の前に白いクロスのかかったテーブルがセットされ、ワインとアックアミネラーレとグラスが整然と並べられていた。その向こうにはブドウ畑と糸杉のトスカーナの丘陵が広がっている。ステンレスの貯蔵タンクが見えなければワイナリーであることを忘れてしまいそうだ。
アヴィニョネージで、テイスティングに準備されていたのは、
●Vino Nobile di Mnotepulciano DOCG 97=
ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ 97年
●Avignonesi Rosso di Toscano DOC 98=
アヴィニョネージ、ロッソ・ディ・トスカーナ 98年。
●Vino da Tavola di Avignonesi Bianco 1998=
ヴィーノ・ダ・タヴォラ・ビアンコ98年。
赤ワイン二種と白ワイン一種であった。
アヴィニョネージの名を一躍世に知らしめたのは、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノである。その意味するところは、モンテプルチアーノの高貴なワイン。サンジョヴェーゼの改良品種であるPrugnolo Gentileから作られたこのワインは、その名の通り高貴な香りとまろやかな味わいのワインなのであった。
「窓の景色といい、テーブルの配置と言い」
「ここに座って、みんなで食事したら」
「まさにダヴィンチの最後の晩餐ですね」
と言いながら、隊員たちの視線は、ワインの栓を抜きコルクを確かめているエレオノーラの動作に集中している。彼女の手には開けたばかりのコルクがある。 「この栓はサルデーニァ産の天然コルクで、ひとつ1500リラもするのよ」
ワインに夢中で直ぐには分からなかったが、コストを負担しても人工コルクやプラスチックの栓を使わない、アヴィニョネージのワイン造り対する基本的な姿勢を、さりげなくエレオノーラは表現しているのであった。
飲み較べる内に部屋には笑い声が満ちてくる。遙かな距離を来たことも忘れる幸せの香り。テースティングにエレオノーラのような美人ソムリエがいて、おかわりもありだなんて、やっぱり、いいなあイタリア。好きだなあイタリア。
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テースティングの準備が整って
Photo by Katujiro Watanabe
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香りを確かめるEleonora
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ヴァリックの中で熟成を待つ
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