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「トスカーナ、モンテプルチアーノのワイン蔵へ乱入」の巻
モンテプルチアーノ、アヴィニョネージのワイン蔵。トスカーナ、イタリア
Cantina di Avignonesi Montepulciano

 トスカーナと言えばワインである。日本ではキアンティが特に有名で、ワラにくるまれた瓶のキアンティは誰もが目にしたことがあるはずだ。藁苞(わらづと)キアンティはイタリアワインが話題にもならなかった昔から輸入され、イタリアワインの代名詞となってきた。

 トスカーナ探索隊は今回四カ所のワイン蔵をチェックしてきた。キアンティのカステルヴェッキ、モンテプルチアーノのアヴィニョネージ、モンタルチーノのポッジョアンティーコ、サンヴィートのワイン蔵へ乱入したのである。

 雷鳴とどろくシエナの夜が明けるのを待ちかねて隊員たちが起き出してくる。クルマが来ているか確かめようと、外に出てみるともの凄い雨だ。去年一昨年と続けてこの時期シチリアにいたので、雨には全く降られなかった。シチリアは常夏の島だが、同じイタリアでも中部のトスカーナには春夏秋冬の四季がある。

 豪雨の中をモンテプルチアーノとモンタルチーノのワイン蔵へ向かうことにする。シエナの環状線に乗って走り出すうちに、雨も小降りとなってきた。途中で今回のトスカーナ探索隊をアシストしてくれた窪木敦子が待っている。窪木はソムリエハラダの中学の同級生である。日立出身の窪木はイギリスに留学後シエナにやって来た。旦那さんのフランコはシエナ人だ。

 雲が覆う空の一角に数条の光の帯が降りてきた。光の帯は厚く垂れ込めた雲を鋭く切り裂いている。雨に濡れて光る道がトスカーナの丘陵を緩やかなカーブを描いて続いていく。一行を乗せたクルマはトスカーナの風景に溶け込むように前のめり。

 神々しいばかりの光景にクルマを停めて写真を撮りたかったが、言いそびれている内に、雲は再び空を覆い尽くした。右左に滑らかにうねっていた道も直線となり、射していた光の帯もいつか消えてしまった。
糸杉の並木があって

門の中を覗くと

糸杉、オリーヴ、ブドウ畑 トスカーナ3点セット



アヴィニョネージのブドウ畑。モンテプルチアーノ、トスカーナ、イタリア
Vigna di Avignonesi Montepulciano


アヴィニョネージのブドウ畑。モンテプルチアーノ、トスカーナ、イタリア
Vigna di Avignonesi Montepulciano

 モンテプルチアーノへ着く頃には雨もすっかり止んで青空が戻ってきた。素早い立ち直りが好きだなあイタリアと言いながら、糸杉の並木道を進んでいけば、門の前で強面のボクサー犬が待ち受けている。

「ワシら、決して怪しい者じゃないけんね」

 と一応言ってみたが、ボクサー犬は低く
「ナハッ、そう言うヤツほど怪しい。ヌオッ」

 と唸り、しぶとい面構えで隊員たちの行く手を阻むのだった。

 仕方ないので、その間に外に広がるブドウ畑を見やると、全方位に糸杉がゆらりと立ち並び、遠くの麦畑の黄色に「麦秋」という言葉が浮かんでくる。糸杉の陰は長く延び、キリコの絵のようだ。ブドウの液汁を運ぶクルマのステンレスタンクに、朝日がキラリと反射する。

 門の中を覗くと、。右側にレンガ色の建物と正面に白い建物が見える。まだ10時前だというのに、ワイン蔵の人たちは忙しそうに建物の間を行き来している。暫くすると中からエレオノーラが出てきた。おっかない顔して踏ん張っていたボクサー犬も、彼女がひと声かけると、すっかりだらしないユルミ顔になってしまう。イタリアでは犬も美人に弱いらしい。

 ウンブリアのペルージア大学を出た才媛エレオノーラは、アヴィニョネージ社でマーケティングを担当している。入社してから一念発起ソムリエ資格も取得した。齢28才というが優雅な雰囲気をたたえたなかなかの美人である。おまけに冬はスキーが趣味というから嬉しいではありませんか。

 エレオノーラの案内で早速ワイン蔵を見て回る。先ずはアヴィニョネージ考案の円形のブドウ畑を見せて貰った。一本の糸杉を中心にブドウ畑が放射状に円を描くように広がっている。ブドウの木が中心の糸杉に向けて直線に植えられ柵が作られている。

 中心に糸杉が植えらた円形の畑は、ブドウの木に栄養分が行き渡りやすく日照と水はけよくするために考え出されたという。そのせいか、どの木にもブドウがたわわになっている。
「ワインを作るブドウって甘くないんだって」

 と誰かが言ったので、たわわに実るブドウを摘んで食べてみると、プルニョーロ・ジェンティーレはたっぷりと甘い味がするのであった。
門の前で待ち受ける不敵なボクサー犬

なだめられて大人しくなった

たっぷりと甘いプルニョーロ・ジェンティーレ


アヴィニョネージのブドウ畑。モンテプルチアーノ、トスカーナ、イタリア
Vigna di Avignonesi Montepulciano

柔らかな光と風の中で
Cantina di Avignonesi Montepulciano

 ワイン蔵の中を隅から隅まで見て回り、お待ちかねテースティングの時間がやってきた。隊員たちはニカニカしながらエレオノーラの後について行く。案内されたテースティングルームは、数多のワイン蔵を探索してきた隊員たちをも感動させずにはおかないしつらえであった。

 部屋の正面には半円形の窓が開いている。窓の前に白いクロスのかかったテーブルがセットされ、ワインとアックアミネラーレとグラスが整然と並べられていた。その向こうにはブドウ畑と糸杉のトスカーナの丘陵が広がっている。ステンレスの貯蔵タンクが見えなければワイナリーであることを忘れてしまいそうだ。

 アヴィニョネージで、テイスティングに準備されていたのは、
●Vino Nobile di Mnotepulciano DOCG 97=
ヴィーノ・ノビレ・ディ・モンテプルチアーノ 97年
●Avignonesi Rosso di Toscano DOC 98=
アヴィニョネージ、ロッソ・ディ・トスカーナ 98年。
●Vino da Tavola di Avignonesi Bianco 1998=
ヴィーノ・ダ・タヴォラ・ビアンコ98年。

 赤ワイン二種と白ワイン一種であった。

 アヴィニョネージの名を一躍世に知らしめたのは、ヴィーノ・ノービレ・ディ・モンテプルチアーノである。その意味するところは、モンテプルチアーノの高貴なワイン。サンジョヴェーゼの改良品種であるPrugnolo Gentileから作られたこのワインは、その名の通り高貴な香りとまろやかな味わいのワインなのであった。
「窓の景色といい、テーブルの配置と言い」
「ここに座って、みんなで食事したら」
「まさにダヴィンチの最後の晩餐ですね」

 と言いながら、隊員たちの視線は、ワインの栓を抜きコルクを確かめているエレオノーラの動作に集中している。彼女の手には開けたばかりのコルクがある。 「この栓はサルデーニァ産の天然コルクで、ひとつ1500リラもするのよ」

 ワインに夢中で直ぐには分からなかったが、コストを負担しても人工コルクやプラスチックの栓を使わない、アヴィニョネージのワイン造り対する基本的な姿勢を、さりげなくエレオノーラは表現しているのであった。

 飲み較べる内に部屋には笑い声が満ちてくる。遙かな距離を来たことも忘れる幸せの香り。テースティングにエレオノーラのような美人ソムリエがいて、おかわりもありだなんて、やっぱり、いいなあイタリア。好きだなあイタリア。
テースティングの準備が整って
Photo by Katujiro Watanabe

香りを確かめるEleonora

ヴァリックの中で熟成を待つ



ブドウ畑でエレオノーラの説明を聞く

糸杉を中心にブドウ畑が放射状に

エレオノーラがアヴィニョネージの白を
Photo by Katujiro Watanabe

ワイナリー、アヴィニョネージ,モンテプルチアーノ、トスカーナ、イタリア

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