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「ヴァルテッリーナのワイン蔵へ乱入」の巻

 ヴァルテッリーナ探索は毎日天気が良かった。が、去年の暮れに雪が降ったあと、風の強い日が続いたそうで、雪が飛ばされたリヴィーニョのピステは絶好調というわけにはいかなかった。むしろ、エッジのきかないハードなバーンの連続がキツかった。

 ボルミオも珍しいことにコースの一部が閉鎖されたりしていて、3000m地点から1800m地点までのコースは滑れるが、ピステの状態はベストではなかった。イタリアがそんな状態だから、サンモリッツも同様で、どうやら今年も温暖化が進行し、全体的に降雪量は少ないようだった。  サンタカテリーナは今回で三度目の探索だったが、ヴァルテッリーナのスキー場の中では常に安定しているのはさすがだった。今回行った四大スキー場の中では雪質もバーンも最も満足できる状態であった。

 それでも、なにより晴れるのが一番。バーンが硬いくらいで贅沢は言えません。そうでないと、「いつでも晴れるイタリアスキー」の看板をおろさなきゃいけなくなる。いやあ、よくぞ踏ん張って晴れてくださいました。ホントに。

 今回のヴァルテッリーナ探索隊に最も遠い国からやって来たのは、北海道室蘭から参加した鈴木健広・美那のカップルであった。二人は97年から毎年、クールマイユールチェルヴィニアコルティナダムペッゾを順番に滑ってきた。すっかりイタリアスキーが気に入って、今年はついに探索隊に加わることになったのだ。

 いつも雪のある北海道室蘭から、はるばる遠いイタリアにまでスキーしに来るのだから、余程熱心に滑るのだろうと思うと、あにはからんや、二人はゆったりのんびりスキーを楽しむ風情で、午前中は探索隊と一緒に滑るのだが、昼食を終えると、
「私たちはこれで」
と優雅に隊を離れて滑り去ってしまうのである。

 オシドリ鈴木夫妻はいつでもスキーができる北海道という恵まれた環境にいるので、雪質のいいときに好きなだけ滑ることができる。だから、ある程度滑ったら、ガツガツせずにゆったりと散歩したり、のんびりと休暇を楽しむという境地に達しているようなのだ。こちらはイタリアスキー探索隊などと、身に過ぎた看板を掲げたばっかりに休みたくても休めない。
ボルミオ3000へのフニヴィア

ボルミオではいつもレースが開催されている

ボルミオ3000の展望台で

ボルミオ街、中世の塔

 スキーが終わったら、なにはさておき飲むわ、食べるわのイタリアスキー探索隊。早速村上由利子に聞いてみる。
「このあたりで、おいしいワインを作っている所は?」
「わたしはワインはあんまりよく分かんないけど、ボルミオにブラウリオ=Braurioっていうリキュールがあって、頼めば見学できると思う」

 ボルミオの街は昔からミラノやヴェネツィアが、アルプスを越えて北の国と行き来をする交通の要所として栄えてきた。現在の街の地下には宗教戦争の時代の地下街が存在していて、今も使われているらしいのだ。実際に見せてもらおうと、リキュール、ブラウリオのショップに行ってみた。

 ブラウリオは、食後に飲む胃腸の消化を助けるリキュールだ。地下の樽にはヴァルテッリーナの高山植物が各種漬け込んである。何が入っているかは、企業秘密とかで教えてくれないのだが、香草薬草を10種以上も入れて寝かせるらしい。飲むと、かすかな苦みと甘みが入り交じった微妙な味と香りがして、いかにも効き目がありそうだ。

 創業は19世紀末の1878年と古く、ヨーロッパのリキュールコンクールでは何度も金賞を取っている。スイスのサンモリッツでもバールには置いてあるくらい、人気のあるDigestivo=ディジェスティーヴォだ。イタリアの食事で胃腸がくたびれたら一度飲んでみんさい。スッキリ消化は完全保証いたします。
ヴァルテッリーナのワイン、スフォルツァート

ミラノの郷土料理 コトレッタ ミラネーゼ

アスパラのパスタ

こちらはゆでた肉、サラミ、ソーセージ


 リヴィーニョからベルガモへ向かう途中、キウロという村にある、ワイン蔵・ネーラへも寄ってみた。住所を尋ね当てると、殺風景な倉庫風の建物があるだけで、思い描いてきたブドウ畑の中にある館のイメージとはだいぶ違う。
「ホントにここなのかな」
と半信半疑で、建物の前に車を止めて中へ入ってみる。
「お早うございまーす」
と入りながら大きな声で挨拶すると、受付のおじさんが
「ちょっと待って。今来るから」
とアポイントの件は承知しているようである。内心ホッとして暫くすると、別のおじさんが現れた。
「お早うございます。日本から来たイタリアワイン探索隊の者ですが」
「お早う、私が責任者のボリスです」
「今日の見学のことは?」
「あ、連絡が入ったので待っていました」

 ボリスは愛想はあまりよくないが、収穫したブドウを運び込んで押しつぶす所から、ステンレスのタンクで糖分がアルコールへと発酵していく行程を熱心に時間をかけて説明してくれた。醸造所の中を順に案内して貰い、最後に地下のカンティーナで大きな樽を見せて貰う頃にはボリスの人気も急上昇。皆一緒に写真を撮りたがるようになってしまうのだった。
neraのワイン工場

ネーラのBorisの笑顔

 ネーラのワイン蔵での見学試飲購入の全行程は、パッと、サッと、ワーッで一時間ぐらいを予定していた。外から見た雰囲気もたいしたこたないし、着いた時が10時だったから、ドライバーには一時間ぐらい待っててくれと言ってあったのが完全な間違いだった。

 見学のあとテイスティングさせてくれたのは、
ヴィーノ・ヌオーヴォ・ノヴェッロ95年、白。
サッセッラ・ヴァルテッリーナ94年。
インフェルノ・ヴァルテッリーナ・95年。
スフォルッツアート・ヴァルテッリーナ95年。
白ワイン一種と、赤ワインが三種である。

 ボリスがテイスティング用にポンポン気前良く抜いていくので、あっと言う間に盛り上がった隊員たちが、飲んだら、あれも買いたい、これも買いたいとご所望になって、全て終わったら既に12時半を回ってしまっていたのだ。

 ネーラの創業は1940年という。アルプスの山並みに囲まれた、ヴァルテッリーナ渓谷の地形は急峻である。その傾斜地に半世紀以上をかけ、40kmに渡るブドウ畑を作ってきた。長い苦闘の末、イタリアばかりでなくヨーロッパのワインコンクールで、数々の賞を取ってしまうワイン生産者がいるって、さすがだなあ、イタリア。

 なかでもスフォルッツアートが秀逸である。ネビオーロ種のブドウを収穫後一定の温度と湿度を保ちながら乾燥させるアパッシメントという技法で作られるワインなのだが、コルクを抜いたその瞬間、室内に気品に充ちた香りがほのかに立ちあがるようなワインで、年間生産量はわずかに6600本。なかなかお目にかかれない、限定生産のワインなのであった。

 取っつきの悪かったボリスだが、聞けばイタリア人ではなくスイス人だそうで、どうしてもワイン作りがしたくて、イタリアへ来てこの仕事をしているのであった。そんな話を聞きながらボリスと隊員たちが、すっかり心を許しあってしまうなんて、いいなあ、イタリア。

ネーラのテイステイングルームで

ネーラのBorisと探索隊員

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