トップページへ
COLUMN
イタリアスキー探索隊
イタリア探索マップ
ドロミテ探索隊
アオスタ探索隊
シチリア探索隊
トスカーナ探索隊
南イタリア探索隊
イタリアワイン探索隊
イタリアに行くならご用心!
コラムバックナンバー
日本国探索隊
探索隊写真館
探索隊お勧めレストラン
探索隊に参加する

「南イタリア、ナポリ、カプリ、ソレント」の巻、その2
ソレント。カプリから水中翼船が着いた。
Sorrento, 2002 June

 ソレントからカプリ島へ渡る水中翼船に乗ろうとしたら、切符モギリの男がわれわれの荷物を見ながら言った。
「カバンひとつにつき2ユーロよこせ」

 わが耳を疑って聞き返すと、また繰り返す。
「大きなバッグ一個につき2ユーロ払え」
「エーッ!なんでそんなもん払わなアカンねん」
「なんでて、ワシがそう言うとるんじゃ」
「乗船券買うてるのに、そんなもん払わんワイ」
「オー、それじゃ船降りて貰おーかい」
「上等じゃねーか。ナーロー」

 と、今まさに戦端を開いて戦おうとしたら、鷹揚な隊員が横から、
「いいじゃないの、そのくらいのお金」
「ンなこと言ったってこれは払う必要なんか」
「ありませんけどね。はい、これだけにマケといて。チップだと思えば、安いもんだから」

 と小銭をお渡しになってしまうのであった。

 乗船券を買った上に荷物の金を徴収するなんて話は聞いたことがない。日本人だとみると金をせびる。甘い顔して、少しばかりだからと金を渡してしまうと癖になる。次に来る日本人がまたカモにされて、毎回2ユーロづつ、ムシられて、この男たちの生き方を肯定してしまうことになる。ユルせない。ドン。

 チップというのは相手がしてくれたことに感謝して渡すものである。この男は何をしてくれたか?何もしてくれていない。重たい鞄を運んだか?いや、それは自分で積み込みました。感謝することが何もないのに何でチップなのか。ドンドン。

 怒りのランボーは船に乗りカプリ島へ向かったのだが、船が岸壁を離れアマルフィ海岸が眼前に広がってくると、左舷に行き右舷に回り前方を見渡し、すっかり上機嫌な乗客となってしまうのであった。
この桟橋から船に乗る。

こんな水中翼船でカプリへ

ソレントからみた眺め。
Sorrento : Vista dall aliscafo per Capri
ソレント。カプリへ向かう水中翼船にはこの桟橋から船に乗る。
Sorrento : Vista dall aliscafo per Capri

カプリ、マリーナグランデ(大きい港の意)
Capri Marina Grande : 2002 June

カプリ、マリーナグランデ(大きい港の意)
Capri Marina Grande : 2002 Junei

カプリ、マリーナグランデ(大きい港の意)から青の洞窟へ向かう船。
Capri Marina Grande : 2002 June

カプリ島は、回りを切り立った崖に囲まれている。行く前はあくまで白砂青松砂浜が続きビーチパラソルやデッキチェアが並ぶと想像していたが、実際は海からいきなり屹立する断崖の島だ。ソレントやナポリから船が着くマリーナグランデが、唯一の大きな入り江となっている。

 水中翼船でナポリから45分、ソレントからなら20分で行くことができる。一行は午前中ナポリからポムペイ遺跡を探索したので、ソレントから船に乗ることにしたのだった。

 マリーナグランデから山を登ったところにカプリの街がある。海からは登山電車も出ている。われわれは港から出迎えのクルマで坂道を登り、ホテルまで来てしまったが、大概の旅行者は、この登山電車を利用しているようだった。乗車券は片道1.3ユーロなので、150〜60円だろうか。

 カプリへ来たら一度は見ておきたい青の洞窟=グロッタアッズーラへ行ってみることにした。早起き朝食を済ませ、フニコラーレ(登山電車)でマリーナグランデへ。グロッタアッズーラ行きの船に乗るのだが、早すぎて、始発の9時まで待たされてしまった。

 乗船してから後ろを見ると、小さなボートがいくつもロープで繋がれ、男が一人づつ乗っている。着いた先でこのボートが必要になるらしいが、一体何をするのだろう。と思っていたら、このボート男たちは、青の洞窟に着くやいなや、先着して?待ち受けていたボート男仲間と合流して、我先に船の客を奪い合いだすのだった。

 朝一番乗りのわれわれの乗った船が着くや、待ち受けボート男たちが、こちらめがけてワラワラとタカってくる。イタリア人には珍しい慌てぶりに、思わず笑ってしまう。ボート男たちは観光客を小舟に乗せ、青の洞窟の中へ案内していくのを生業にしているのであった。上客を乗せて稼ぐチャンスの奪い合いで生存競争だから、そりゃあ必死にもなりますワね。

 小舟に分乗して、いよいよ、グロッタアッズーラへ入る順番がやってきたが、これはなかなかスリリングな体験だった。潮が満ちてきている時間帯なのか、洞窟の入り口は海面からわずか30cm程、舳先がモロにぶつかる高さしかない。波というか、潮が引いて水位が下がったときに敢然と中へ突入するのであった。

 誰にも言っているにちがいないが、ボート男は、オレの操船術は一番で安全だとか、洞窟の中へ入ったらサービスして一周多く回るとか、最後にチップをくれるなんてことがあると大歓迎だなあ、てなことをねだり続ける。

 洞窟の中は思ったより狭く、次々に突入してくるボートで直ぐに一杯なってしまう。何しろ、メシの種となれば、少しでも回転を早くして次の客を乗せたい。中へ入ったら、今度は一刻も早く外へ出なければならない。その気持が挙動から伝わってくる。

 洞窟の中は真っ暗で光りは入り口から射してくるだけ。ボート男の歌うナポリ民謡が洞窟の壁に反響して雰囲気も上々。水は確かに青々と透明で、射し込む光りに不思議な蛍光青光りの波となり、人々を包み込んでしまうのであった。

 青の洞窟探索にかかった軍資金は、船に乗るとき払った9ユーロと別に入場料を11ユーロ徴収され、三人分のチップとして5ユーロ渡したので、しめて25ユーロであった。

 ボート男には世話になったし、こういうチップはしかたないか。一応歌も聞かせてくれたしナ、一度は見ておいてよかった青の洞窟。であったしナ、といつまでたってもチップ慣れしないジャポネーゼは一人頷くのだった。
カプリ船着き場

タクシーは日産の改造オープンカー

ラ・レジデンツァ・ホテル


カプリからマリーナグランデを見る
Capri : Vista della Marina Grnade

カプリ:ラ・レジデンツァ・ホテルのプール
Capri : La Residenza Hotel

 次の日、島の回りをグルッと一周する船があるというので、そいつにも乗ってみることにした。お代は11ユーロだった。港を出ると島を左回りに回るので、座るのは右舷がいい。席は右側にしっかり確保。走り出すと昨日と同じ方角へ向かい、先ず青の洞窟へ寄るという。

 グロッタ・アッズーラへ到着するや、待ち受けていたボート男たちが、昨日とまったく同じ動作で群がってきた。ああ、これが彼らの毎日の仕事なんだと妙に納得した。また口々にオレの船にに乗れと、同じようお誘いがかかったが、さすがに今度は乗りませんでした。

 乗船していた他の客たちがグロッタ・アッズーラ見学から戻ってカプリ島を一周する。島の回りは緑の洞窟、白の洞窟と洞窟だらけで、いつもポスターで眺めていたファラリオーニ岩島群の実物も見たし、岩にあいたトンネルも船で通り抜けた。おまけにガイドの解説付きなのもなかなかいい。時間のない向きは、最初から一周する方に乗るのがお勧めかもしれない。

 夏の強烈な日差しで、頭頂部が亀甲模様に断裂する憂事発生に、ソレントで緊急購入した帽子と、あの日見たカプリ島の光景が網膜にしっかりと焼き付いて残ったのであった。
船と小舟が青の洞窟を目指す



青の洞窟へ突入!
Capri : Goratta Azzurra  Photo : Noto Shunsuke

Capri : Goratta Azzurra
光りは青い波となって

Capri : Goratta Azzurra
光りは青い波となって

PAGE TOPに戻る

カプリアマルフィ海岸旅行はイタリア旅行社へ

バール掲示板
リンク
サイトマップ
プロフィール
トップページへ