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「南イタリア、ナポリ、カプリ、ソレント」の巻、その1
ナポリ湾とカステル ヌオーヴォを望む 
Napoli : Castel Nuovo 2002 June

 ローマからナポリへ向かう列車のコンパートメントに、フランス人の初老の夫婦が乗り合わせた。ふたりは列車の窓から後ろへ飛び去っていく景色を飽かず眺めている。

 走り去る窓に新しい景色が現れる度に、奥さんが小さな感嘆の声を上げ、柔らかな言葉で夫に話しかける。幸せに包まれた光景に、ひととき心が和むのだった。

 フランス語を解さないので、言っていることは分からないが、ようやく子供も育ち、夫婦二人だけでイタリアに来ることができた。旅行は結婚記念のプレゼントかもしれない。

 手にした小さなノートに間断なくなにかを書きつける様子は詩人のようでもあり、添えられていくスケッチも本格的だった。長年の夢が叶った歓喜が静かに伝わってきた。

 ナポリの駅について、ホテルへ行くためタクシー乗り場へ向かっていると、回りがただならぬ空気にざわつき始めた。ひしめく男たちの低い怒声に女性の泣き叫ぶ声が交じる。近づいてみると、悲痛な叫びの主は、先ほどコンパートメントで一緒だった女性ではないか。

 駅に着いて、車を探そうとしていたら、数人の男たちが声をかけてきた。断る間もなく男たちが旅行鞄を運び始めてしまうが、いずれ、車に乗ってホテルへ向かうのだからと任せてしまったらしい。

 乗り場に着いてみたら、二つの鞄が見えない。先ほど、わらわらと荷物運びに取りかかった男たちが、鞄を持ってそのままいずこかへと遁走してしまったのだった。

 運転手は「何が起きたんだ」とか、「それは大変だ、警察を呼ぼう」とか「オレは知らない」などとトボケるばかりでラチがあかない。

 これはもう強奪なのである。呆れるほど荒っぽい手口で荷物に手をかけ逃げ去る。あまりに単純すぎて疑う暇もなくことが運んでしまう。テキはもちろん最初からグルなのだ。

 ああナポリ、なんという邪悪。神をも恐れぬ鬼畜の所業。か弱い者に襲いかかる無慈悲非情。これほどナポリを熱望する者からも、情け容赦なく簒奪する悪党悪漢跋扈跳梁。やはり、この地に神の恩寵は宿らない。
カゼルタ、王宮の入り口
Caserta Parazzo Reale Campagna,Italia

カゼルタ、観光客がいっぱい

カゼルタ、庭園から王宮を望む

 鮮明な記憶で、折に触れ思い出すのだが、実は1970年11月、三十二年前の話である。自分に降りかかった災厄ではないが、この時以来ナポリにあまりいい印象を持っていない。

 ナポリでサミットがあってから、警備が強化され、街中は安全になった言われるが、つい最近も繁華街で襲われ、身につけていたローレックスを強奪された旅行者の話を聞いた。外務省渡航情報で最近起こった事件を見てみると、あるある無限連続危険情報。

 女子大生が一人でコルソ通りを歩いていたら、バイク2人組の若い男にバッグを強奪された。学生2人がダンテ広場で、4人組の男にナイフで脅され、カバンと首から吊していた貴重品袋を奪われた。駅付近のバーで、男に飲み物やたばこを勧められ、飲んだところ意識がなくなり、翌朝目覚めたら所持品が全てなくなっていた。

 高速道路出口付近で、前の車が突然停車、レンタカーのタイヤに刃物を突き刺されパンク。タイヤを調べている間に、車内の貴重品の袋と、バッグを持ち逃げされた。と、これでは安全になったとはお世辞にも言えない。 安全とは言えないが、今回急に南イタリアへ行くことになった。ナポリに二泊、カプリに二泊、ソレント三泊の間にカゼルタ、ポムペイ、パエストゥムと世界遺産を三ヶ所回ることになったのだ。カプリの青の洞窟や島を巡る船にも乗ることになっている。

 シチリアでシーラクーザ、アグリジェント、セジェスタ、セリヌンテ等、紀元前のギリシャ植民だった地を二回探索したら、南イタリアに残る最大のギリシャ遺跡、パエストゥムを是非とも見ておきたくなった。

 このような廃墟となったギリシャ遺跡に何故こだわるかと、人は思うかもしれないが、西欧文明の源流はギリシャにある。我々の生きる現代文明の起源を、避けては通るわけにいかないように思えるのである。

 スキーのついでに北イタリアの中小の都市を訪れその魅力に触れてきたが、シチリアへ三度続けて行ってみると、南イタリアやシチリアも捨てがたい。それも当然、古来二千年以上人々を惹きつけてきたのは、やはり陽光溢れるイタリアであるに違いないのだから。
巨大な魚の口が噴水に

庭園は広い。歩く、歩く、


男女の騎馬警官、カラヴィニエーリ

カゼルタ・ヴェッキアのドゥオーモ
Caserta Vecchia Campagna

 ナポリの北30kmほどの平原に忽然と現れる王宮がある。18世紀ナポリ王国のカルロ三世が建てたカゼルタである。王宮は壮大な館で、ブルボン家の威光を示すに十分なものである。近年世界遺産に登録されたので、日本からも少しづつ人が来るようになった。

 照りつける陽差しは、南イタリアの名にふさわしく強烈だ。湿度がないため室内や木陰にいれば感じないが、一旦戸外で太陽に直接対決となると、とても敵わない。

 王宮から外へ出ると、そんな客を馬車が待ち受けていて、御者のかける声に釣られて、ついつい乗ってしまう仕掛けになっている。

 庭園には様々な噴水を備えた3kmにも及ぶ長大な池がある。観光客ばかりでなく、近隣の人たちが遊びに来るらしく、散歩しながら往復6kmのウォーキング。木陰でくつろぐカップル。合コン風の若者達。孫連れ爺婆などで賑わっている。

 庭園内をパトカーが巡回しているし、騎馬警官二人が近づいてきたので、仰ぎ見れば一人は女性のカラヴィニエーリ=憲兵だった。逃げ場のない庭園内にこれだけの警備なら、少しは安心していられるかもしれない。

 池に水を供給するための水道は、40kmも離れた所から引かれている。そこで、カゼルタ南東のマッダローニにある「渓谷の橋」Ponti della Valleも見に行った。水道橋はかなりの高さがあり、ずっと見上げていたら首が痛くなった。橋全体を見渡そうとすると、左右離れ目になってしまう程の長さがあった。

 水道橋の後、カゼルタヴェッキア=旧市街も探索した。丁度昼時に、森の中で見つけたリストランテ・ターナ・デル・ルーポ(狼の巣)へ入ってみたら、又これがなかなかいい。

 イタリアでは教会で結婚式を挙げると、近しい者たちが郊外のリストランテへ集まって食事したりする習慣がある。新郎新婦を祝福する披露宴代わりなのだが、この日も丁度ナポリの家族の集まりがあって賑わいを見せていた。

 ナポリだって、こんなリストランテなら何の心配もないが、だからといって、この先はいかなる危険が待ち受けているか分からない。ホントに、ここらで、なんとかしろよ、イタリア。
Caserta Vecchia Campagna

Ristorante La Tana Del Lupo


マッダローニの水道橋 
Ponti della Valle : Maddaloni Campagna

マッダローニの水道橋 
Ponti della Valle : Maddaloni Campagna

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