ドロミテではどこへ行っても、大勢の子供たちが目に付く。親子で滑っている少年少女たちも多いが、入学前の子供が沢山いる。大抵は、マエストロ・ディ・シー=スキー教師が先導してその後ろに付いて滑っている。頭にヘルメットをつけたチビっ子たちがトレーンで滑っているのは微笑ましい光景だ。子供好きなイタリア人がますます和んでしまうのがいい感じ。
アッレゲ滞在中宿の若主人セルジオから、セッラ・ロンダが立派なビジネスに成長したと聞いた。確かに今年のセッラ・ロンダの混雑は最高だった。イタリアはリフト待ちがないと言ってきたが、未だかって見たことがない程多くの人がフニヴィアに並び、テレキャビンに行列しているのを目にした。
ドロミテへ来るスキーヤーが減少せず、増加している理由のひとつに、ドロミテスーパースキー全体が、こうした家族連れの優遇策を取っていることにある。例えば、8才までの子供はスキーパスが無料だし、8〜12才までは半額である。60才以上のシルバー層にも割引がある。
この適用を受けるには、子供が両親と一緒にドロミテスーパースキーの各拠点に滞在宿泊していることが条件となっている。親が子供を連れて来れば、おじいちゃんや、おばあちゃんも孫と一緒に来るかもしれない。年寄りや壮年層、子供連れの家族を重視するドロミテスーパースキーの狙いは功を奏しているようだ。
徹夜で走ってきて滑って日帰りしたり、駐車場に停めたクルマの中で寝て、食事はコンビニで買ってきたカップ麺やら、おにぎりで済ませてしまう。日本の現状は景気のせいばかりではなく社会と業界全体がウィンタースポーツを流行りものにしてしまった結果だと思える。
流行文化に簡単には迎合しないヨーロッパの伝統が、若者だけでない大人の遊び場を確保できているのが興味深い。日本のスキー場経営者が若者ばかりでなく、中年や熟年のスキーヤーが満足する大人の遊び場としてのスキー場施設と受け入れ態勢を整えるまでは今暫く時間が掛かるだろう。それまでは、日本のスキー場で悲哀をかこつ熟年スキーヤーや、若者に占拠された日本のスキー場にイヤ気がさして、スキーに行かなくなってしまった熟年スキーヤーはイタリアへいらっしゃい。
探索隊参謀、楓山一登の調べでは、ドロミテスーパースキーの規模は長野県全体の面積がすっぽり入る程らしい。広大なスキー場を構成する12のスキー場。滑走可能距離総延長1220Kmという世界有数のスキーシステムが、各村各地域の様々な利害の不一致を乗り越えて事業を成立させている。しかも26年を経ていよいよ発展し成功しているのだ。
スキーヤーだけではなく、スキー場経営者こそ、一度イタリアへ行ってみるべきではないだろうか。このことから学ぶことは少なくないはずだからである。スキーシーズンに行くのが難しければ、オフに行ったらいい。不案内で心配だというなら案内して差し上げようではないか。 |
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祐輔と和佳奈。「ハネムーンできました」
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行きに寄った、ヴェネツィアの夕焼け。
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チヴェッタ。
ピっゼリア、フォンタナボーナ。
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