イタリア半島は火山帯の上にあって、おまけに、ヨーロッパ大陸そのものが、南からもぐり込むアフリカプレートに絶えず押し上げられているらしい。地震が起きる条件としては充分なようだが、いまのところ、日本ほど地震は多くない。ローマで暮らした6年の間一度も雪は降らなかったが、地震もほとんどなかった。まあまあ大きいかなという身体に感じるような地震は、たったの一度しかなかった。
イタリア人は地震を非常に恐れる。日本人にも地震が好きで、多発地帯各地を尋ね歩いてらっしゃるなんて方は、あんまりいないでしょうが、地震慣れはしていると言うか、関東大震災や、阪神大震災を体験してない人ほど怖いもの知らず。夜中に少々揺れたくらいでは起きあがったりすらしない。 東京で地震は珍しくないのに、イタリア人と会議中にグラッと来たりすると、青ざめたり、お祈りしたりするのがいて、そりゃもう大変ですよ。
ローマでまあまあ大きいかなという地震の時、驚いたローマっ子達がなんと、オスティアの海岸目がけて車で避難した。そう翌日の新聞に書いてあったので、こちらがビックリしてしまった。津波が来たらどうするかは考えない。そのあたりもイタリア人なのです。
それでも、時々だが大きな地震がある。先月の9月26日にも、イタリア中部のウムブリア州のフォリーニョ=Folignoを震源とする地震が起きた。アッシジのサンフランチェスコ教会の一部に被害が出て、何度も見に行ったことのあるチマブエやジオットのフレスコ壁画や、丸天井が崩落してしまった。
こうした歴史的建造物や、美術品の保存修復にかけるイタリア人の情熱はなかなかのもので、優れた技術を持った修復師たちがいずれ時間をかけて復元するだろうが、残念ながら相当の期間、一般には公開されないような気がする。
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