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「アルプスは太古、海の底だった」の巻

 ローマっ子はスキーをしないと思っていた。しかし、それは自分がスキーをしないから勝手にそう思い込んでいただけで、実は、回りにもスキーをやる人間が結構いたのである。

 それもその筈、知らなかっただけで、ローマから100Km前後のところにいくらでもスキー場があったのである。であれば、楽しむことに人生の全てを賭けているローマっ子ががスキーをしないはずがあるでしょうか。いえ、いえ、それはありませぬ。スキーの楽しみだけを放棄しちゃうなんてことは、まーったくあり得ないのでありました。

 ティレニア海に長靴型に突き出たイタリアは、三方を海に囲まれている。四方を海に囲まれた日本にそのあたりは似ている。同様に、日本列島の中央を数々の山脈が貫くように、イタリア半島の中心にはAppennini=アペニン山脈が縦に長く走っている。中央を1300Kmに渡って縦断しているアペニン山脈が、イタリア半島を南のティレニア海側と北のアドリア海側に分けていると言っても良い。

 国土面積の半分以上を山が占めるところも日本に似ていると言える。春夏秋冬の四季がはっきりした気候風土も、だから、似ているのかもしれない。山があり、冬が来て雪が降り、スキーヤーのいるところにはスキー場ができる。イタリアには北から南までスキー場だらけということになる。

 君よ知るや南の国と歌われたシチリア。真夏は気温50度を越すことさえある、あの常夏のシチリアにだってスキー場がある。と言えば驚く人が多いが、シチリアのエトナ山(3323m)にはスキー場があるのだ。そして、このエトナ山こそはヨーロッパで唯一の活火山である。ヨーロッパ大陸広しと言えども、今でも火を噴いている火山はエトナ山だけである。

 流れ出た溶岩で灰皿なんか作って、観光客に売りつけてしまうなんてのは、さっすがシチリアーノ。やってくれるじゃありませんか。


 イタリア半島は火山帯の上にあって、おまけに、ヨーロッパ大陸そのものが、南からもぐり込むアフリカプレートに絶えず押し上げられているらしい。地震が起きる条件としては充分なようだが、いまのところ、日本ほど地震は多くない。ローマで暮らした6年の間一度も雪は降らなかったが、地震もほとんどなかった。まあまあ大きいかなという身体に感じるような地震は、たったの一度しかなかった。

 イタリア人は地震を非常に恐れる。日本人にも地震が好きで、多発地帯各地を尋ね歩いてらっしゃるなんて方は、あんまりいないでしょうが、地震慣れはしていると言うか、関東大震災や、阪神大震災を体験してない人ほど怖いもの知らず。夜中に少々揺れたくらいでは起きあがったりすらしない。  東京で地震は珍しくないのに、イタリア人と会議中にグラッと来たりすると、青ざめたり、お祈りしたりするのがいて、そりゃもう大変ですよ。

 ローマでまあまあ大きいかなという地震の時、驚いたローマっ子達がなんと、オスティアの海岸目がけて車で避難した。そう翌日の新聞に書いてあったので、こちらがビックリしてしまった。津波が来たらどうするかは考えない。そのあたりもイタリア人なのです。

 それでも、時々だが大きな地震がある。先月の9月26日にも、イタリア中部のウムブリア州のフォリーニョ=Folignoを震源とする地震が起きた。アッシジのサンフランチェスコ教会の一部に被害が出て、何度も見に行ったことのあるチマブエやジオットのフレスコ壁画や、丸天井が崩落してしまった。

 こうした歴史的建造物や、美術品の保存修復にかけるイタリア人の情熱はなかなかのもので、優れた技術を持った修復師たちがいずれ時間をかけて復元するだろうが、残念ながら相当の期間、一般には公開されないような気がする。


ところで、ヨーロッパ大陸の下にもぐり込もうとするアフリカプレートの押し続ける圧力が、海底だった地層を4000m級のアルプスへと隆起させた。と聞いた時、あのアルプスの山々が、海の底だったとは俄に信じられなかったが、どうもホントのことらしい。だとすると、エライっ。アフリカプレートさん。おかげで、ホモサピエンスはスキーを楽しませて頂いております。

 コルティナからアラッバへ向かうSS48を登り切るとパッソ・ファルツァレーゴである。ドロミテの岩峰が天空に聳え、碧空を切り裂くようなその偉容に誰もが目を奪われ、思わず見上げてしまう。それが、ラガッツオーイである。ここでも、よっ、エライっ、アフリカプレートさん、と感謝せねばならない。

 もっとも、ドロミテ一帯そこかしこにこうした偉容、景観が見られるので、アフリカプレートへの感謝は気持ちだけにして、コルティナアラッバへ行ったら、ここを外しちゃあいけません。ラガッツオーイスキー場を何度か滑り、サンカッシアーノまでのロングランをやらないと折角来た甲斐がないってもんです。

 アルプスが海底だった証拠と言っちゃなんですが、ラガツオーイへ行った時、フニヴィア(Funivia=ゴンドラ)乗り場のバールで偶然見つけた魚の化石、宝物として今でも大事に持ってます。


イタリアと言うと、フツーの人はどうしてもローマ、ミラノ、フィレンツェ、ヴェネツィアのような街を想起する。それは全く自然で、それぞれが言い尽くせぬ魅力に溢れた街だから、こちらも全く異論はない。

 だが、同時に、ドロミテだのアオスタのような山岳地帯を併せて思い起こすことができるようになれば、あなたはちょっとしたイタリア通かもしれない。
「北部のアルプスやドロミテは当たり前だけど、シチリアにもエトナってスキー場があるんだよな。イタリアには」

と、なにげなく人に語れるようになれば、イタリアスキー序論は、ひとまず合格と言えるだろう。

 そうなれば、恐らくもう、イタリアスキーについては、「日も未だ浅きにして、その練達ぶり。さぞかし名のあるお方とお見受けした。名を名乗られよ」とか言われたりするようにもなるにちがいない。

 そういう時、SJ読者であるシアワセを感じ、つくづく、よかったぁと思う筈なのである。




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