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「アラッバ、コルヴァーラ、アルタバディーア」の巻
ガルデナ峠から見たサッソルンゴ
Vista del Sasso Lungo daL Passo Gardena:Jan 2003

雪がたっぷりのセッラ山群 
Gruppo del Sella, Dolomiti :Jan 2003

 スキーは行く前に雪がたっぷり降って、行ったら天気がいいのが一番である。スキーの間はカンカン照って、寝てる間は少し降り、起きたら真っ青な空が広がっていればもっといい。

 悪夢の99年。アラッバからコルヴァーラへ向かうリフトから見た、衝撃的な風景は今も忘れられない。普通なら一面の銀世界が、あの年はまるで冬枯れの牧草地帯。羊や牛がいれば牧場そのものなのであった。

 今シーズン、ドロミテ一帯は昨年までの小雪状態を抜け出して、11月後半から雪が降り始め、本来の寒い冬が戻ってきた。おまけに暮れから正月にかけて、ヨーロッパ大陸を猛烈な寒波が襲ったために、イタリア北部は荒れ模様。

 雪があるのは有り難いが、荒天が続けば、スキーヤーの夢は砕かれる。探索の間はベッドの中にいても天候が気になり、おちおち寝てもいられない。ガサゴソ六時前に起き出して、窓から外を覗く毎日が続く。

 覗き見れば、派手な照明もない鄙びたアラッバの村が闇に浮かび、教会を中心に慎ましやかな明かりが雪に反射している。心地よさそうにまどろむ村の佇まいは、どこか懐かしい思い出につながっているような気がする。

 空はまだ暗く、夜明け前の静けさに、ドロミテの山並みが黒々と影を落としている。冬時間を採用しているイタリアでは、朝も七時を過ぎないと明るくならない。少しづつ山の端が薄明るくなって、空に雲がないようなら心底ホッとする。

 万里の遠きを来た子らの、期待ズシリとのしかかる。ひたすらの祈り天に通じたか。晴れるとなれば、急に元気が湧いてくる。やはり、私の辞書に不可能はない。

 七時間眠らないと起き出す気にならない人なのに、イタリアに来たらナポレオン。「人間二、三時間眠れば疲れなんて回復する」と、たちまち起きて滑る気になってしまうのが、われながら不思議である。




 朝食を七時半にレストランが開く前から並んで待って、宿の二代目若旦那ディエゴに、
「さ、す、スキーパス買いに行かなきゃ」
と急かせば、クリクリ目玉を動かしながら、
「スキーパス事務所に行かなくてもだいじょぶ」
「どうしてさ、シニアパスも必要だしさ」
「今年から、ウチでもスキーパスの発行ができるようになった」
「また、また、朝から冗談ばかり」
「いや、ホントなんだってば、その代わり、パスは、返して貰わないといけないけどネ」

 見せてくれたスキーパスは、クレジットカードみたいなICカードである。得意のおふざけかと思ったら、ドロミテスーパースキーと契約したホテルでは、ICカードのデータを書き換えて、スキーパスを発行できるようになったという。

 新しいスキーパスはJRのスイカのようなもので、読み取り機にタッチするだけでよい。一々挿入していたのを、触れればデータを読みとれるように改良したのだ。ただし、従来のパスのように記念に持ち帰ることはできない。
「パスタ食べてから寝た方がよく寝られる」
「ヴィーノ飲まなきゃ、いい滑りができない」
「朝にはスキーパスを用意しとくから心配ない」

 夜中過ぎに飲んだり食ったりしながら聞いた、ディエゴの台詞は冗談ではなく、17名分のスキーパスは目の前に用意されている。
「それじゃ、板と靴を運ばなきゃ」と思うと、ディエゴの親父さんのフェリーチェが、パッサートを玄関に回して全員の板と靴を積み込み始めている。カンポロンゴへのリフト乗り場の下にあるスキーデポジトまで運ぶのだ。
「あー、では最初の八人クルマに乗ってー」

 言い終わるや、ディエゴは九人乗りのワーゲン・ワゴンで二往復。あっという間に隊員一同滑る態勢が整ってしまった。

 天気よし。先導はジャンニが引き受けてくれる。ミラネーゼのジャンニは理想の年金生活者。冬の間はアラッバで毎日スキー三昧の生活で、ドロミテを自分の庭のように熟知している。いつの時代も、持つべきは友なのでありますね。
 隊員は殆どがアールベルグSCと小田原SCの指導員クラスばかり。こうなれば鬼に金棒。なんの心配もなく、こちらはもっぱら写真撮りながら後ろを付いていけばいい。

 成功の条件。いい宿、いい天気、いい先導の三つが揃ってしまった。あとは自分が怪我しないように注意していれば、成功は間違いなし。そう思うと急に肩の力が抜けて、ようやく気分が楽になっていくのであった。




セッラ山群の深い谷をのぞき込む

 身支度整えアラッバの南側斜面を、カンポロンゴへと向かう。初日からアルタバディーアのワールドカップ男子回転のコースを攻めることにしたのである。幾山河越えて来た隊員たちに歓迎の挨拶。先ずはワールドカップのコースを滑らせたい。

 カンポロンゴへ上ると、朝日を浴びて眩いばかりの山並みが白く滑らかだ。サンカッシアーノもトファーナもラガッツオーイからアルメンタローラへの起伏も、パンナコッタみたいに白く柔らかそうで、四方八方見渡す限りどこまでもスキー場が続いている。

 カンポロンゴからコルヴァーラへのピステをゆっくり滑りながら、少しづつウオームアップしていく。身体中の筋肉がドロミテに反応している。気分は徐々に昂揚し、発汗とともに体温も上昇していくようだ。

 途中で正面にサッソンガーが見える場所に来て皆が立ち止まっている。いかにもドロミテが実感できる場所なのかもしれない。こうして全員コルヴァーラに到着する頃には、完全なるドロミテスキーヤーになりきってしまうのだ。

 アルタバディーアへはコルヴァーラから右のリフトを乗り継いでいく。ワールドカップコースはラ・ブランチャから先のラ・ヴィッラの斜面にしつらえられている。途中から左へヒヨ鳥越え逆落としのように始まっている。

 ここへ来る度にこのバーンを滑っているが、最初からここへ飛び込んで行くのは少し勇気がいるかもしれない。でも、実際は雪質が上々なので滑れば気分は更に上昇気流。

 レース開催時はカチンカチンのバーンとなるというので、こんなに滑り易いことはないだろうが、誰でも好きなように、ワールドカップレーサーが滑る一級の斜面を飛んでいけるところが魅力的である。

 初日でもあるし、一回目隊長はのんびり滑る迂回コースに回ったが、アールベルグ競技班は目の色が変わってしまって、解き放たれた矢のように谷底へ吸い込まれていくのであった。



ドロミテ探索隊:サッソルンゴをバックに
Sella Ronda:Jan 2003

Sasso Lugno Dolomiti Italia:Jan 2003

Dolomiti Italia:Jan 2003

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