トップページへ
COLUMN
イタリアスキー探索隊
イタリア探索マップ
ドロミテ探索隊
アオスタ探索隊
シチリア探索隊
トスカーナ探索隊
南イタリア探索隊
イタリアワイン探索隊
イタリアに行くならご用心!
コラムバックナンバー
日本国探索隊
探索隊写真館
探索隊お勧めレストラン
探索隊に参加する

「マルチャロンガとセッラロンダ・スキーマラソン」の巻

 イタリア各地のスキー場で、今季もワールドカップレースが目白押しである。いずれも毎年、W杯の舞台となるお馴染みのスキー場だが、12月中にマドンナ・ディ・カムピリオでスラローム、ヴァルガルデナのダウンヒル、アルタ・バディーアの大回転、そして三月にボルミオでダウンヒル最終戦が開催される予定だ。

 マドンナのSLは、昨年まで二年連続で中止だったので、今大会は相当の盛り上がりを見せるに違いない。ヴァルガルデナのDHとアルタ・バディーアのGSが、99年のフィナーレとなるので、こちらもまた見逃せない。

 ボルミオDHが通常は年内最後のレースとなるのだが、今シーズンは三月の最終戦の開催地となっている。95年にもボルミオでダウンヒル最終戦が行われたが、今回は、アルペン、ノルディック、フリースタイル、スノーボードと、ワールドカップ全種目がアルタヴァルテリーナエリアのボルミオリヴィーニョサンタカテリーナで開催されるわけである。ニッポン選手達の活躍を期待し、応援には一人でも多くのスキーヤーが駆けつけて欲しいものである。

 レースと言えば、イタリアで開催されるスキーレースは、ワールドカップに限らない。ガルデニッシマとジガンティッシモを既に紹介したが、他にも一般スキーヤーが参加できるビッグレースにマルチャロンガとセッラロンダ・スキーマラソンがある。

 マルチャロンガはドロミテ渓谷で、毎年一月の最終日曜日(2000年は1月30日)に開催される距離70kmのクロスカントリーレースである。日本では知られていないが、イタリアでは南の島シチリアの子供でも知っている国民的行事なのだ。今大会は、いよいよ27回目を迎える。

  日本では札幌国際スキーマラソン(2000年は2月23日)が札幌の冬の風物詩となっている。羊が丘展望台をスタートして、50kmを走る札幌国際スキーマラソンとマルチャロンガは姉妹レースで、共にワールド・ロペット・レースにその名を連ねている。

ワールドロペットは世界十三カ国で開催され、大会に参加し完走すると、ワールドロペットパスポートと言う認定証とワールドロペットマスターのメダルを授与される。南半球、オーストラリアの八月開催を除くと、ヨーロッパ、アメリカ、カナダは一月から三月にかけて集中して開催される。ドロミテ完全制覇を成し遂げたら、次は各国のレースに参加して、十三のワールドロペットを是非とも走破してみたいものである。

 マルチャロンガは、ドロミテの西端カヴァレーゼからプレダッツォへと延びるヴァル・ディ・フィエンメと、モエナからカナツェイまで延びるヴァル・ディ・ファッサの、長さ70kmの二大渓谷にまたがって展開される。Marcia=マルチャ(行進とか競歩)longa= ロンガ(長い)だから、看板通りの長い長い行進である。

 レースは、二つの渓谷の中心ヴァル・ディ・ファッサのモエナから朝8時30分にスタート。FISのスコアーを持つ選手から始まり、一般の選手は9時にスタートする。モエナ(標高1200m)からヴィーゴ・ディ・ファッサ(1390m)、ヴァル・ディ・ファッサの東端、カナツェイ(標高1460m)まで18kmは徐々に上りが続く。カナツェイでUターンし、ソラーガ(1200m)までの5kmは緩やかな下りとなり、ソラーガから再び向かうモエナが折り返し35km地点となっている。

 後半はもうひとつの渓谷ヴァル・ディ・フィエンメに入って行く。最初の5kmは、ほぼ平坦なコースで、プレダッツォ(1018m)を抜け、一番標高の低いモリーナ・ディ・フィエンメ(800m)までの22kmは緩やかな下りが続く。

 ここまで来れば残りは8kmとなるのだが、未だ気が抜けない。実はここからが心臓破りで、ゴールとなるカヴァレーゼ(1000m)まで、距離8km標高差200mの上りが続くからである。これを乗り越えてこそ、ようやくARRIVOへ滑り込めるという仕組みなのであります。
●マルチャロンガ全行程と標高

 セッラロンダ・スキーマラソンは、ドロミテを舞台にした珍しいナイトスキーマラソンだ。ドロミテで味わえるこの世の贅沢、セッラロンダコースを独占して毎年二月に開催されている。唯一この日だけ、ドロミテで夜間のスキーがサポートされ許されるのだ。

 レースは日も暮れかける夕刻6時にヴァル・ディ・ファッサのカナツェイをスタート、月明かりとヘッドランプだけが頼りのナイトレースとなる。コースはオレンジコースの時計廻り。二人一組でスタートし、一緒にゴールしなければ失格となる。

 チェックポイントは三カ所。林間やオープンコースを走り抜け、上りではシールスキンをつけた板を履き、スケーティングで距離を稼ぎ、いつもはリフトで楽している場所も自力で登らなくてはならない。

 カナツェイからセッラを目指しセッラロンダコースへ合流。第一関門のパッソセッラを越えて、最初のチェックポイントセルヴァ・ディ・ガルデナへ。次にセッラの北へ回り込み、二番目のCPコルヴァーラを目指してガルデナ峠(2240m)を越える。折返し地点コルヴァーラを通過し、パッソカムポロンゴ(1875m)を越えて三番目のCP、アラッバへと辿り着く。

 アラッバとカナツェイの間には、最後の難関パッソポルドイ(2250m)が待ちかまえている。しかし、ここまで来ればあとは、最後の力を振り絞りゴールへ向かってスパートするしかない。サッソルンゴ、マルモラーダ、トファーナなど、ドロミテの岩峰群が月明かりに照らされ、森林地帯の向こうには、ゴール地点カナツェイが見えてくる筈だ。


 イタリアのレースは、一般のスキーヤーにも広く門戸が開かれている。参加者に基本的なスキー技術が要求されるのは当然だが、それ以上に、持久力と精神力が要求されているようにも思われる。

 さすがにセッラロンダ・スキーマラソンには年齢制限があり、健康と体力に自信がある成人のみに参加資格が与えらる。それでも、イタリアのレースは完走を目指すのは勿論だが、参加し挑戦するだけでも充分に価値があり楽しめる造りとなっているように思えるのだ。

 ドロミテの恵まれた自然がなければ、マルチャロンガやセッラロンダ・スキーマラソンも生まれることはなかっただろう。しかし、いかに恵まれた環境があろうとも、それを生かすのも殺すのも人間であることは言うまでもない。

 イタリアーノならではの発想とドロミテの自然、人々を暖かく受け入れるイタリアーノのホスピタリティが巧みに、あるいは巧まずして融合することで、マルチャロンガやセッラロンダ・スキーマラソンが人々の中に定着しているのではないだろうか。さすが、スキー天国。いいなぁ、イタリア。好きだなぁ、イタリア。




PAGE TOPに戻る

イタリア旅行はイタリア旅行社へ

バール掲示板
リンク
サイトマップ
プロフィール
トップページへ