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「ドロミテの風の音が聴こえるかい」の巻

 ヴァルガルデナめざして滑る探索隊は、この日サッソルンゴの姿をはっきりと見ることができなかった。が、晴れ間に一瞬見えたサッソルンゴの幽玄の雰囲気に満足すると、今度は急に
「なんか飲みたーい」
「はらもへったー」
「手がいたーい」
「そろそろ、食事にして欲しーい」
口々に言い始めるのだった。

 「あーれま。もー一時過ぎてんのか。ほんじゃら、どっか、あったかいとこさ行くべかあ」
というわけで、はぐれた時の待ち合わせ場所、ベルヴェデーレのレストランへと向かうことにした。昼食の間も雪の勢いが一層強くなってきたので、のんびりと三時過ぎまで飲んだり食ったりしてからアラッバへ帰ることにする。ポルドイからアラッバへは本来なら7kmもあるコースだが、この日は途中まで滑って、朝来るときに乗ったバスで逆戻りするわけである。

 「よーし。今日は、ここまで。ビールもう一本飲むかあ」全面的にそういう体勢だったのが、アラッバに着いたら雪はやんでる。雲も切れて視界も良くなっている。
「よーし。もう一本行くかあ」では同じ「もう一本」なのに、そのあとが全く違うのでありますね。 でも、やっぱり、ポルドイからアラッバまで視界不良の中を帰ってきたんだもんなぁ。しょーがない、えーい。
「よーし。最後にもう一本行くかあ」
「うっそー」
「えーっ、ほんとー」
「めっずらしいー」
「やったー」
言った本人がビール一本と思ってたんだから、そう言われても返す言葉はございません。

 アラッバのスキー場は北向き斜面にあるため、雪の状態はシーズンを通して常に良好だ。しっかり整備された上級ならびに中級斜面が豊富で、誰もが楽しめるスキー場と言えるだろう。フニヴィア一本でポルタヴェスコーヴォ(2478m)へ上れば、あとは村(1602m)までの標高差876m、三通りある4kmのピステを一気に滑り降りることができる。

 パッソセッラを目指して、ひたすらLupo Bianco=ルーポ・ビアンコ、Col Rodella=コル・ロデッラのピステを滑ってきたのに、どこにこんな力を残していたのか、最後の一本を隊員達は軽快にノンストップでキメたのである。滑り降りてくる途中、空からはふたたび、ちらちらと雪片が舞い降りてくるのだった。


 イタリアスキー探索隊の合い言葉は「夜中は降って」と問われたとき「昼間は晴れろ」と答えるのだが、今回は雪不足だったので寝る前にも、
「夜中は降って昼間は晴れろ」
と各自が三度唱えることにしていた。その効あって、十日の午後から降り始めた雪は、夜の間もどんどん降り続き、朝になっても降りやまず、冬枯れドロミテを一変させる豪華絢爛堂々一挙70cmの大雪となった。

 「あー、見渡せばドロミテは一面の銀世界」
に、よーやくなって頂けました。よかった、
「おじさんは嬉しいよ。杉作ぅ」
なんであるが、今度は降りすぎで、ゴンドラリフトの殆どが運休となってしまった。しかたないので、滑りに行く人、休養する人、各自自由行動にするしかない。

 いわき市の能戸俊輔=プロフェッソーレノトは青森に生まれ東北に育っただけあって、新雪深雪が大好きである。
「どーすると、こんなとこが滑れるの?」
「・・・まわりにこういう雪しかなかったもんで・・・圧雪されたとこよりも・・・こっちの方が・・・滑りやすい。」
しゃべりには・・・が随所に散りばめられて、訥々としているが、滑りの方はスピードに乗って流麗である。

 雪国で生まれたSJ愛読者。今シーズンはカービングの板を新調した。研究肌で今回も最初の二日間はストックなしで練習していた。となれば、滑りは切れない筈がない。欠点と言えば、人が入ってない斜面を見つけると、たちまちそわそわと挙動が怪しくなること。
「おいおい、こんなとこいくのかよ、うそだろ!」
と言うような所で、勝手に隊を離れて滑って行ってしまうことかもしれない。

 ということで、プロフェッソーレノトとソムリエハラダは降りしきる雪の中をニカニカ嬉しげに滑りに行っってしまった。こちらは雪が降ったら滑らない居残り組とブラックジャックをして日がな一日過ごしていた。バクチなんかしたことない能戸洋子は見る間に負けが込んで
「俊輔さんが帰ってきたら、なんて言おう」
という身売り寸前状態になってしまったのである。


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