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「ミラノ乗り継ぎ便にはご用心」の巻

 航空機は限られた機材を効率よく利用するため、ローテーションを組んで使い回している。同じ機材が例えば、ヴェネツィア→ローマ→カターニア→ミラノ→ローマというように、朝から晩まで一日中、各地を飛び回ることもあるわけだ。間断なく離着陸を繰り返す内に、どこかで遅延が発生すれば、玉突き状態となって回復が難しくなる。

 国内線はもとより、大陸間を飛ぶ大型機となると、更に機材が限られ飛行時間も長くなるので、ニューヨークから到着する機材でミラノ→東京を飛ばす場合などは、一度遅れたら簡単には遅れを取り戻せない。特に、メンテナンスで部品交換が必要になったりすると、大幅な遅延となりやすい。

 99年のアラッバ探索隊の帰りに、今まで経験した最大のヘビーディレイが発生した。ドロミーティ探索やヴァルポリチェッラのワイン蔵探索の日程を消化し、一行はマルペンサへ向かっていた。ヴェローナからの車中、空港へ着いたら各自がカートに乗せたスキーやバッグから目を離さないようにアナウンスして注意する。

 気がゆるむせいか、空港やホテルで置き引きにあったり物を盗られたりするケースは結構多い。せっかくいい気分で楽しんできて、最後にイヤな目にあったのでは、全てがブチ壊しになってしまう。その点は隊員たちもよく心得ていて、お互いが荷物を中心に円陣を組んで見張り番をして付け入るスキを与えない。

 それはいいのだが、マルペンサの日本人スタッフがいるカウンターへ行くと、今日は飛行機が大幅に遅れていると言うではないか。どこかからローマに来る便が遅れているので、そいつがミラノへ回ってくるまでには10時間くらいかかるらしい。

 ここで飛行機に乗ればあとは日本という、全面的帰国待ち受け態勢が一瞬にして打ち砕かれてしまう。さっきクルマの中で、空港での諸注意なんかをしたばっかりなのに、十時間遅れってヒドい仕打ちじゃない。あちらで何も知らない皆さんは、ヒナ鳥みたいに隊長が運んでくる搭乗券を待っていなさるんですよね。

 この事態をなんと説明したらいいかと思うと、一瞬目の前が暗くなり、全身の血が薄くなったような気もしたが、見渡せば回りはスポットライトの当たる舞台のように明るかった。

 普段は飲んだり食ったりノッタラしてばかりの隊長だが、一朝ことある、こういう時のために同行しているようなものである。やっと、お役に立てる時がまいりました。気が遠くなって立ちくらみしてる場合ではございません。かと言って、張り切って嬉しそうにするわけにもいきません。なんせ、遅れてんのは、オイラの会社なんだかんね。ホント、まずいぜ。なんとかしてよ。アリタリア。


 すぐあとに出る大阪行きの便は定刻に出るというので、大阪経由でも東京へ帰らねばという加藤泰輔と大阪三人娘=楠田美重子、中村圭子、信平弥恵子は大阪行きの便に乗る。残る隊員は
「文句言いたいけど、遅れてんのは隊長の会社だしな。どー言ったらいいのか。困るよなぁ」
と、ことの成り行きを仕方なく受け入れて諦めつつあるようだった。

 遅れると言ったって永久に飛ばないわけでもないし、ジタバタしたり怒ったりしても仕方がない。とりあえず、どこかで時間をつぶすプログラムを考え出さないといけない。どうせなら今まで行ったことないとこへ行ったれ。と苦し紛れに、急遽マッジョーレ湖へ行くことにする。部屋を取って貰い、クルマの手配もして貰う。この際行ってみたかったマッジョーレ湖で、一日のんびりするのも悪くないだろう。

 マッジョーレ湖は、さすがに名だたる湖水地帯の雄である。湖に面した四つ星ホテル、グランド・ホテル・ディーノ
http://www.zaccherahotels.com/home_dino.htm
も申し分のない雰囲気で優雅な内にもゆったりした佇まいであった。部屋のテラスのサンデッキからは眼前に湖が広がっている。

 この時間、われわれの課題はといえば、ただ飛行機が飛ぶ時間がくるのを待つだけである。仕事もしなくていい。時間内に何かをしなければということもない。好きなだけ散歩したり食事したり、湖を眺めたり、贅沢な部屋で寝そべったり。人生の中でこれ程何もせずに、ゆったりしたことはありませんでした。


 今年一月のドロミテ探索隊は、ヴェネツィア発ミラノ乗り継ぎで帰国することになっていた。予約してあったのはヴェネツィア発11時45分、マルペンサ着12時35分の便で、東京へ向かう786便の出発が1400時なので、オンタイムであればなんら問題はない。筈であった。

 ところが、ヴェネツィアを出るときの飛行機が遅れていたため、マルペンサ空港では、東京行きのゲートへ走るように直行した。おかげでいつも土産に買っているバッチ(キス)チョコレートさえ買う時間がなかった。

 そもそも、ヴェネツィア出発の朝も、予定の時間より一時間も前に、
「運河の水位が上がって、橋の下をくぐれなくなる。今のうちにボートに積んで運ばないと、大変だぁ」
というから、あわてて、荷物を詰め込んで出てきたのである。ったく、オッコルでぇ。ホンマぁ。

 各空港では乗り継ぎの際の最低必要時間(Minimum Connecting Time=略してMCT)が設定されている。このMCTは航空機の定時離発着を前提とした設定なのだが、乗り継ぎに必要十分な時間と考えると間違いの元となる。

 マルペンサ空港で見ると、国内線から国際線へのMCTは45分となっている。これは、45分あれば、人も荷物も乗り継げるという理論値なのであって、全てがうまくいったときの乗り継ぎ時間と考えた方がいい。実際はいくらなんでも、あの広い空港で45分では短すぎる。

 定時運行が当たり前の短距離電車や地下鉄に乗ることが多い日本人は、少しの電車の遅延にも騒乱を起こすばかりに怒り狂う。が、比較的中距離を走る東海道線なんかは、やれ、人身事故だ。やれ踏切内にクルマが立ち往生だ。線路内に人が立ち入った、と一々怒ってたんじゃぁ身が持たないくらい、年中遅れております。

 航空機が時として遅れることや、日本がEU非加盟国であるための、A→Bターミナル間の移動。パスポート審査の時間。回りの皆さんへのおみやげ探しを考えると、乗り継ぎには2〜3時間を見ておいた方がいいだろう。

 探索隊一行もようやくの思いで、東京行きの便に乗るには乗ったが、成田空港では、ほとんどの隊員がスキー板を受け取れなかった。人とバッグはなんとか間に合ったが、スキー板はマルペンサ空港に置き去りになってしまったのだった。




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