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「ピーラはアオスタ市民のホームゲレンデ」の巻
イタリア、アウグストス凱旋門、ヴァッレダオスタ、アオスタのローマ遺跡

イタリア、プレトリア門、ヴァッレダオスタ、アオスタ、ローマ遺跡旅行

 イタリアに来ると時差と興奮のせいで早く目が覚める。眼を覚ましてカーテンの隙間から空の様子を覗くと、街は暗く日も射していない。時計を見ると未だ朝の五時半だ。イタリアの街はどこでも石やレンガの色が街造りの基本となっている。けばけばしい色を建物に塗ったりするのは許可されない。街のしっとり落ち着いた色合いも、伝統を重んじ大切にするイタリアーノの心の表れであるに違いない。石造りの街アオスタは未だ眠りから覚めていない。古都は人気もなく静まり返り、明け方のまどろみを楽しんでいる。

 葦の海を渡ってエジプトを脱出し、苦難を乗り越えてようやく辿り着いたアオスタ。さあ、今日からクールマイユールチェルヴィニアラトゥイールの四大スキー場を滑るのだと思うと眠ってるのがもったいない。一刻も早くアオスタスーパースキーの幕を開けて、先ずはピーラを滑りたいと気がはやる。

 アオスタ州の人口十三万五千の内三万六千人が、アオスタ市に住んでいる。街の北側にはアルプスの山並みが連なっている。ただしこちらに見えているのは、イタリア、スイスを分けるアルプスの南斜面である。

 街の南側にはイタリアとフランスを隔てるアルプス北斜面が見えている。アルプスが壁のようになっているので、冬の午前中はなかなか陽が高くならない。石造りの街は全体が底冷えし、足元からは冷気がはい上がる。
Porta Pretoria=プレトリアの門



 アオスタの街から南へ13kmにピーラのスキー場がある。以前は車で山道を上らねばならなかったが、今はアオスタ駅の南側にテレキャビンの乗り場がある。アオスタの街(583m)とピーラ(1790m)を、乗り換えなしの30分で結んでいる。ピーラはアオスタの街に直結しているスキー場で、市民には街の中にスキー場があるという感じなのかもしれない。

 スキーパス・ヴァッレ・ダオスタ=Skipass Valle d'Aostaを買えばアオスタ州のスキー場は全て滑れるので、これがお勧めである。イタリアのスキー場は、磁気カードのスキーパスを読み取り機に差し込んで通過するシステムが主流だが、アオスタスキーパスは差し込まずに、近付けるだけで通れるので更に楽になった。手袋を外し、もそもそとスキーパスを引っぱり出したりする必要もなく、何かを無くしたりしないのは安心である。

 いつも、乗り物に乗る時には、できるだけ進行方向を向いて座るようにしているが、ピーラへ昇る時は進行方向に背を向けて座った方がいい。渓谷沿いの北側に東西に長く広がるアオスタの街の全容が、上りながら見渡せるからである。昇るにつれて変化していく景観、徐々に広がってくるパノラマが楽しめるのである。

 高い所から景色を眺めるのが好きで、ローマのサンピエトロ寺院、ミラノのドゥオーモの屋上、フィレンツェのドゥオーモのクーポラ、ヴェネツィアのサンマルコ鐘楼、ピサの斜塔、黒部ダム、佐久間ダムと何でも上ってしまうのだが、ピーラから見える景観は、このままずっと昇り続けたいと、ふと思わせてしまう不思議な磁力を持っている。

 ピーラはCouis2662m,Piatta de Grevon2752m、La Pera2663mの尾根の北側、標高2620mから1373mの斜面に設計されたスキー場である。午前中は陽が当たる斜面もあるが、午後になると日陰が多くなり気温は下がってくる。トップに登れば、目の前にはパラディーソ国立公園が広がっている。滑走可能距離は60km。変化に富んだ林間コースには人工降雪機が設置され、森林限界の上のオープンコースにはパウダースノーが舞い、新雪も楽しめるオフピステが待っている。全く文句のつけようがないスキー場のひとつと言えるだろう。

 アオスタの市民は、こんな環境秀閑静古都に住んでるだけでも優雅なのに、ピーラのようなアルプス一望雪質抜群のスキー場に、行こうと思ったら直ぐ行けちゃうのだから、実にうらやましい。

 うかつなことに、ここにこれだけの規模のスキー場があると知ったのは、95年の三月のことである。こんな穴場のスキー場をホームゲレンデにしている、アオスタ市民はホントに幸せである。
ピーラの青空バックの探索隊一行




 ホテルエウローパを朝の八時に出発して、九時前には滑り出した一行は、一時半に、5番コース途中のレストラン"LA CHATELAINE"に集合することにして、それまで各自思う存分滑り込むことにした。

 イタリアーノの昼食は二時くらいからと、大体相場が決まっている。だから、夕食も遅めで夜の八時、九時にならないと始まらない。ニッポン人はきっかり十二時昼食の民族なので、ちょっと時差がある。あまり早く昼食を取ると、夜が遅いので間が保たない。

 食い物がうまい、酒が美味いが生きてる喜びの大半となってしまった近頃は、イタリアスキーの楽しみの半分が、食事とワインにあると言えるかもしれない。

 ところで、ワインと言えば、赤ワインが体にいいと、日本でも最近飲む人が増えているらしい。福島のいわき市からやって来た能戸俊輔、洋子も、
「前はわたしたちしか買わなかったから、いつも一杯あったのに、最近は赤ワインの棚はいつもカラなの」
と言うくらいである。何でも赤ワインに含まれるポリフェノールが動脈硬化を防ぐとか、心臓病になり難くすると信じられているようなのである。バブル期にはボージョレ、ボージョレと騒いでいたが、今は赤ワイン、赤ワインとニッポン中でもてはやされているのである。

 高温多湿の我が国で、ワインを貯蔵するのはなかなか金がかかる。そこで、ワインのラベルをそっくりはぎ取ってしまう透明シールを発明し、ワインのラベルを収集してしまう。この辺は、何ともニッポン人らしい。

 この透明シールを携えて、日立市から来たドクターハラダこと、原田洋一もなかなかのワインラバーである。今回も昼夜を問わず、ワインラベルの収集に情熱を傾けることになり、昼の食事まではシラフだが、昼食後〜夕食〜寝るまで、ずっとほろ酔いの、立派なイタリアスキー探検隊員に成長したのであった。

 ツアーも後半にさしかかった頃、原田が見せてくれたソムリエノートには、それぞれのワインを評価するコメントが、
「豊かなコクがあってまろやかなワイン」
「華やかな香りとしっかりした個性」
「しなやかで、ふくよかなかおりがする」
などと、几帳面な字でびっしりと書き込まれているということはなくて、大きな字で、
「なかなかいい」
「かなりいける」
「これもなかなかうまい」
と書いてあるだけなのだった。

 ロゼワインのような、ほんのり顔の原田は
「稚拙な表現だなぁと、自分でも思う」
ワイングラスをゆらりとさせて静かに笑うのであった。



飲むわ食べるわ。 ソムリエハラダ、隊長、
プロフェッソーレノー ト 

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